健康意識の高まりや予防医学への関心を背景に、人間ドックを毎年受けるという人が着実に増えていることは大変好ましいことだと思います。私は医学部卒業後、脳神経内科医として、一貫して脳卒中臨床に携わってきましたが、近年の非常にシステム化された大学病院の脳卒中センターであっても、重症の患者さんの場合には、生命にかかわることや重度の後遺症を残すことがあります。そんなときは、なんとかもう少し早い段階でこの病気を予防できなかったものかと、思い悩むことも少なくありませんでした。
どんな病気でも一定のプロセスはあります。その早い段階で何かしら予防医学的処置を講じたり、薬物治療あるいは生活習慣への医学的アドバイスにより体質改善を図ったりすることで、病気に繋がる道すじを変えられるのです。人間の智恵で病気の流れを変えたい、こうした思いを胸に、私は予防医学の道を自身のライフワークにしようと決意しました。
私が考える健康診断のポイントは2つあります。1つは最適なメニュー選びです。検査内容は決して画一的ではなく、ご本人の年齢、過去の病歴や検査結果、さらにはご家族にどのような病気が多いかなどを参考に、受診する検査内容を決定することが重要です。もう1つは、得られたご自身の健診結果から、その中の問題点に優先順位をつけ、体質改善に向けて今日から始められる具体的な生活目標を設定することです。
ただ実際には、健康診断を受けたことで満足してしまっていて、その結果説明も充分に聞いていないとか、極端な場合には結果すら見ないなどという方もおられるかもしれません。また、毎年異なる医療施設で受診したり、あるいは同じ医療施設でも担当医が異なったりする場合などは、以前と少し結果解釈が違っていたなどと、違和感を覚えた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。しかしながら、こうしたことは受診された方々の問題のみならず、我々医療従事者の対応や意識にも少なからず原因があるのではないかと、私は考えています。これらの点を改善する方法としてご提案したいのが、「信頼できるプライベートドクター」をもつということです。